移転しました。これまで当ブログ"歌詠み狐の徒然日記"のご愛顧、ありがとうございました。


by kyubi-grakai
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ある夏のメモリアライズ


 本日は夏休みを小説形式で回想したいと思います。くだらない前説もこのあたりにして、早速本編へと参りましょう。しばしのお付き合いを。。



 2006年8月31日。

 僕は窓から遥か遠い空を見上げて、今年の夏を思い返していた。

 そう、それは普段はしないことだった。

 では何故、今年に限りそんな事をしているのだろうか。

 何故なら今年の夏は特別な夏休みだったからだ。

 僕はそこまで考えて、この夏の回想を始めた。


 夏休みに入る前日。

 同じ委員会で働き、同じ汗を流し、同じ感動をした仲間たちと共に打ち上げに行った。

 それはそれはとても楽しい出来事で、ずっと僕の胸に残る想い出になった。

 同じ苦労をした人々とだからこそ同じ歓びを味わえたのだろう。

 思えばここから、僕の最高の夏は始まったのかもしれない。


 夏休みに入り、ある人と共に山へとランニングをすることになった。

 山へと登りながら、様々な話をする。この会話が、僕は何よりも好きだった。

 風に揺れる木々たちのざわめき。

 僕たちの周りに群がる沢山の虫たちの羽音。

 数多くの自然の囁きに耳を傾けながらの会話は、僕の心に新たな何かを生んだ。

 しかしこれは長くは続かなかった。

 途中で他の事に目を奪われてしまい、走る時間を失くしてしまった。

 思い返せば、これがこの夏唯一の後悔かもしれない。


 七月の終わり。

 僕は数人の仲間と共に、ある大会のボランティアへと参加した。

 共に活動する仲間がよかったのもあり、この活動はとても大きな実りを持たせてくれるものになった。

 何も出来ない僕を、温かく受け入れてくれる存在。とても嬉しかった。


 八月の終わり。

 何人かの仲間たちと、祭りに行った。

 花火は残念ながら逃したものの、耳に聞こえる祭囃子の音、浴衣姿の人々、ここそこに立っている露天。

 そんなものを見ていると、何やら言いしれぬ切なさが幸福と共に込み上げてきて、僕は一杯になった。

 多くの人の夢が集まっている。何故か僕は、そんな事を考えた。


 そして僕が何よりも楽しかったのは、仲間と共に過ごす、いつも通りの生活だった。

 休みにもかかわらず毎日のように学校へ行き、歓びも悲しみも苦労も共有し、最後にはみんなが笑顔になる。

 そんな変わらない光景は、何よりも僕の心を温かくさせた。

 どんなことをも笑いに変える力を持つ仲間という存在。

 僕は身近にそんな存在を感じることが出来て、とてもとても嬉しかった。


 昨日、花火をした。

 すっかり陽が沈んでしまった空に向かって打ち上がり、弾けるロケット花火。

 想い出も共に打ち上がっていった気がした。

 最後の線香花火。

 先に灯る、優しく淡く果敢ない、オレンジ色の火を見て、思うことは唯一つだった。

 そしてたぶんみんなも、同じ火を見て、同じことを思っていただろう。

 だけど誰も口に出さない。

 逆に無理して明るく振舞おうとした人もいた。

 そのことを口に出したら、全てが壊れてしまいそうな気がしたから、みんな何も言わなかったのだろう。


 明日からまた、新たな日々が始まる。

 どうなるのかは僕ら次第だ。

 でも何故かこれだけは言える。

 悪くなるはずがない。

 いつもの場所で、いつもの仲間で、いつものように、過ごすのだ。

 その時間がほんの少しの取るに足らない間であった所で、そこで過ごす仲間たちにとっては永遠に近いものになるだろう。

 僕はそれが嬉しくてたまらない。


 もうすぐ夏が終わる。

 名残惜しいと思う気持ちが心の殆どを占めている。

 でもそれが、僕が確かにあの仲間たちと過ごしたのだという証なのだとも思う。

 過ぎ行く時間を止めることも、過ぎ去った時間を戻すことも、僕らには出来ない。

 だからこそ僕は、未来が素晴らしいものであれ、と願う。

 上手い言葉が見つからないが、それは願いに止まらず、現実へと繋がるものだとも思う。


 これからも繰り返し繰り返し夏はやって来るだろう。

 でもこの夏と同じ夏はもう僕たちには体験出来ない。

 しかし目まぐるしい幸せの中で、ふと目を上げれば、あの満天の星空から、仲間たちと過ごした懐かしい日々は、数限りなく僕の胸の中に落ちてくるのだ。


 最後に、仲間に礼を言いたい。

 同じ悩みを持つ仲間に。

 同じ苦しみを経験した仲間に。

 同じ苦労をした仲間に。

 そして何よりも同じ喜びを感じた仲間に。

 ありがとうの一言が言いたい。


 いつも元気でとても楽しいあの人に。

 他人には言えないようなことも気軽に言えるあの人に。

 軽い冗談を言いあえるあの人に。

 時には衝突することもあったがいつも最後には許しあえるあの人に。

 僕のことをよくわかってくれるあの人に。

 いつも陽気で周囲を和ませてくれるあの人に。

 とても素直なあの人に。

 多くの悩みを抱え込んでいるのに平気な顔をしているあの人に。

 自分のことと他人のことを同じように考えられるあの人に。

 厳しいけれど適切な意見をよく言ってくれるあの人に。

 とても真面目なあの人に。

 僕たちを笑わせてくれるあの人に。

 いつも優しく微笑んでいるあの人に。

 そして、何よりも大切なあの人に。


 こんな言葉だけでは伝わらないかもしれないが、心からの礼を言いたい。

 本当にありがとう!!


 僕はそこまで考えて、もう一度窓から外を見渡した。

 あれだけ輝いていた太陽もすっかり沈んでしまい、満天の星たちと月が僕たちを見守っていた。

 今は暗い世界だが、絶対に日はまた昇る。

 そのときを待っていれば、必ず。


 何か起こりそうな予感がして、僕は振り返った。

 そこには仲間たちが優しく温かく微笑んで、僕を待っていた。

 何かが込み上げてきて、心の奥を揺さぶった。

 少し躊躇ったが、僕は勢いよく窓のそばを離れて、仲間たちの元へと駆けていった。



 これで九尾狐の回想記は終わりです。

 何か意見や感想があれば載せていただければ嬉しいです。

 それでは明日に向かって突き進みたいと思います。

 夏休み、お疲れ様でした。

 これからもまた頑張りましょう。

 よろしくお願いします。



 ☆彡
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by kyubi-grakai | 2006-08-31 22:14 | 心の詩